CALENDAR
S M T W T F S
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
<< June 2017 >>
ARCHIVES
CATEGORIES
浜田省吾を聴いてみたい方に
RECOMMEND
RECOMMEND
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - |
DJお願い!
浜田省吾1982年発表のアルバム「プロミストランド」収録曲です。
当時はまだレコード盤の時代で、B面の1曲目がこの「DJお願い!」、2曲目が「バックシートラブ」、3曲目が「Good-Bye Sweet Home」と、ご機嫌なロックンロールナンバーがたたみかけるような構成となっていました。

浜田省吾作品としては珍しいアカペラによるドゥワップで、非常に短い曲ですが完成度の高い作品に仕上がっており、当時から人気のある作品でした。
古いドゥワップソングを下敷きにした楽曲は、それまでにも見られていましたが(たとえば、「汐風の日々」など)、ここまで完全なドゥワップソングはこれが初めてではなかったかと思います。
 
ひとりぼっちで窓に腰かけ ギター弾いてた
子どもの頃 寂しさだけが友達だったよ
でも今夜はあの娘とふたり 海までドライブ
DJお願い 聴かせておくれ
いかしたロックンロール 素敵なリズム&ブルース
 
歌詞はいつものとおりロックンロールいかしてる、リズム&ブルース大好き的なノリで、既に浜田省吾のステレオタイプが完成の域に入りつつあります。

この作品の特徴のひとつは、「ラジオ文化」に対するリスペクトにあります。
彼女と2人でドライブしている自動車のカーラジオから流れてきたDJへのメッセージソング、今では伝わりにくいかもしれませんが、1970年代から1980年代にかけて、若者たちの情報源の多くはまだラジオにありました。
新曲のチェックやミュージシャンのメッセージなど、若者たちに必要な情報の多くはラジオから流れてきていたのです。

そのため、その時代を生きたミュージシャンたちの多くが、ラジオ文化に対するリスペクトソングを残しています。
サザンオールスターズ「お願いDJ」、佐野元春「悲しきRADIO」、モッズ「ごきげんRADIO」、エコーズ「One Way Radio」、RCサクセション「トランジスタラジオ」、ハウンドドッグ「FENを聴きながら」、アースシェイカー「RADIO MAGIC」と、思いつくものだけを並べていってもたくさん出てきます。
まさしくラジオなくて、1980年代の日本のJ.POPの発展はあり得ない状況と言っても過言ではなかったのです。
そして、浜田省吾のこの作品も、そうした一連の「ラジオ・ソング」の流れの中で生まれてきたものだったのでしょう。

あの頃、多くの少年たちが夢中になった一人ドゥワップ。
あなたも挑戦してみませんか?


| 全曲レビュー(9-PROMISED LAND) | 23:00 | - | - |
僕と彼女と週末に
JUGEMテーマ:音楽

1982年に浜田省吾が発表した作品、「僕と彼女と週末に」。
既に30年近く前の古い曲ですが、今くらい、この曲の本当の意味が理解できる瞬間は、これまでの日本にはなかったかもしれません。

売れるものならどんなものでも売る
それを支える欲望
恐れを知らぬ自惚れた人は
宇宙の力を悪魔に変えた

当時は核戦争が「悪魔」だったはずなのに、本当の「悪魔」は我々の生活の中にこそ棲みついていたということなのでしょうか。
原子力発電がここまで暴走して、日本を国家的危機にまで追い詰めるとは、もちろん、誰にも想像だにできなかったことなのでしょう。

いつか子どもたちに この時代を伝えたい
どんなふうに人が希望を継いできたか

いつか子どもたちに伝えることのできる新しい希望を、今、僕たちは自分たちの手で作っていかなければなりません。
どんなに大変な困難も、日本はずっと乗り越えてきたのだということを、未来の子どもたちの誇りとすることができるよう、今、僕たちは何としてもこの危機を乗り越えなければなりません。
ひとりひとりができる身近な力で、日本はやっぱりこの危機を乗り越えることができると、僕は信じたいのです。



| 全曲レビュー(9-PROMISED LAND) | 23:11 | - | - |
マイホームタウン
浜田省吾1982年発表のアルバム「プロミスト・ランド」収録曲です。
アルバムを代表する作品であり、シングル・カットされています。
10代の少年を主人公に据えながら、少年としての意見に終わるのではなく、社会的なメッセージを込めてているところに、この時期の浜田省吾としての完成作品と言えるかもしれません。

俺はこの街で生まれ 16年教科書をかかえ
手にしたものは ただの紙切れ
同じ様な服を着て 同じ様な夢を見て
瞳の中 少しずつ死を運び込むような仕事に追われている
今夜 誰もが夢見ている
いつの日にか この街から出ていくことを
工業地帯の端に造成された新興住宅街「希望ヶ丘ニュータウン」で生まれた主人公の少年は、その街で一生懸命に勉強してきますが、高校受験に合格した彼が得たものは、満足感や充実感ではなく、「ただの紙切れ」を手にしただけという空虚感でした。
夢を持って入学した高校では、誰もが同じ制服を着て、同じような夢を見ています。
繰り返される単調でくだらない毎日は、まるで「少しずつ死を運び込むような仕事に追われている」生活にしか見えなかったことでしょう。
退屈な生活の中で、彼は決意していきます。
「いつの日にか この街から出ていく」ことを。
都市部の学校に通った人はどうか分かりませんが、僕は北海道の片田舎の高校に通っていましたので、早く街を出たいという意識は、ずっとありました。
それが浜省の影響だったのか分かりませんが、とにかく早く街を出たい、高校を卒業したらこんな街にはいたくないと思っていました。
それは、石橋凌が「おふくろがイヤになったんじゃない この家がイヤになったんじゃない 今はただ この灰色に褪せた街を出ていきたいだけ」という気持ちと同じようなものだったのかもしれません。
それだけに、中学・高校と、この曲はものすごいリアリティをもって、僕に伝わってきていました。

扉(ドア)をひとつ閉ざす度 窓をひとつ開けておく
夢と挫折の中を人はさまよってる
それが彼らのやり方
だけど 人の心まで積み重ねてロッカーの中
ファイルすることなんか出来ないさ
この辺りの歌詞には、浜田省吾が作品に対する意識の高まりを、いやが上にも感じさせてくれます。
それまでのロックンロールの典型的な単純な歌詞ではなく、かなり文学的な表現を意識的に取り入れているものと思われます。
「ドアをひとつ閉ざすたび 窓をひとつ開けておく」の部分は、夢にさえ保険をかけなければならない現代人の生き方を比喩しているものと思われます。
つまり、ドアを閉ざすことは自分の退路を断つことを意味していますが、同時に窓を開けておくことによって、自分の逃げ道も同時に確保しておくという生き方です。
もっと具体的にいえば、ひとつの夢が叶わなくても、次に別の夢を用意しておくことで、人は大きな痛手を受けることはなく、それが現代の人間の生き方なんだと、作者は指摘しているのだと思うのです。
そのことを示唆しているのが、次の「夢と挫折の中を 人はさまよってる」という部分です。
結局、現代人にとって夢は叶うものではなく、挫折することを前提としている部分があり、そのために人は夢と挫折の中を行ったり来たりしているのだと、作者は言いたかったのではないでしょうか。
続く有名なフレーズの解釈は、実はかなり難解です。
まず、ここで作者が意図していることは、ファイリング社会への批判だろうということです。
どんな記録もペーパーデータにして保存していくファイリング主義の現代社会に、作者は疑問を投げかけています。
それは、ファイリングしていくことで歴史を積み重ねていく人々の生き方に、作者はきっと納得できなかったのでしょう。
推測すれば、人はもっと現在を大切に生きるべきであるし、データを保存することよりもその瞬間を精一杯生きることに集中するべきだという思いがあったのではないでしょうか。
データ社会が人間を数値化するような傾向を生みだし、人間を人間として扱わずに、ただのデータとして扱っている社会への警笛といえばいいのでしょうか。
誰かの人生が履歴書という紙の中に記録され、それがファイリングされて積み重ねられていったとしても、それはただの表面的な記録でしかなく、人の心までファイリングしていくことはできないんだと主張するところに、作者が「人の心」をこの曲のテーマとして強くとらえていることがわかります。

現代社会を新興住宅街に置き換えることで、そこに生まれる様々な歪みを、浜田省吾は敏感な神経でキャッチし、当時としては異色のロックンロールに仕上げた。
それが現在から振り返ってみた「マイホームタウン」の評価だと思います。

ところで、歌詞の中に「マイホームタウン」という言葉が明確に出てこないところも、この作品の特徴です。
歌の中に描かれる新興住宅街、誰もが出ていくことを夢見ている街、歪んだ社会、それらすべてが彼にとってのマイホームタウン=故郷であり、同時にそれはすべての日本人にとっての「故郷」を意味してもいるのです。

サウンド的には、マイナーコードでパンチの利いたロックンロール。
前作「愛の世代の前に」に続くダイナミックでハードなサウンドは、浜田省吾のクールでタフなイメージを完全に定着させました。
同時に、浜田省吾って社会派だよね〜という世間の評価をも確立した曲と言えるでしょう。

僕は今でもこの曲を聴きながら、街を出ようと思い続けていた10代の頃のことを思い出すことがあります。
僕にとって、浜田省吾は街を出ていくための強いエネルギーだったのかもしれませんね。

| 全曲レビュー(9-PROMISED LAND) | 19:52 | - | trackbacks(6) |
| 1/2PAGES | >>