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浜田省吾を聴いてみたい方に
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SNOW ON THE ROOF-Just Like You And Me-
浜田省吾1985年発表のクリスマス・アルバム「CLUB SNOWBOUND」収録曲です。
当時、レコード盤ではB面の1曲目に収録され、クリスマス・パーティ気分を盛り上げるポップ・ナンバーでした。
テーマは「クリスマスの夫婦愛」。
子供たちを連れてスキー場に出かけた夫婦が、久しぶりにお互いの愛を確かめ合っている、そんな雰囲気のあふれる曲です。

子供達 騒ぎ疲れて 眠ったみたい
ロッジの夜は更けてく
Christmas Night,
I wanna dance with you tonight

何ひとつ 若い頃の夢 叶えられずに
時は過ぎたけど
Christmas Night,
You make me feel so good tonight

何もいらないんだぜ
高価なプレゼントなんて
君が おれにとって 最高の贈り物さ
この歌の最大の特徴は、やはりメイン・ボーカルをバンド・メンバーの町支さんが取っているということでしょう。
当時、浜田省吾は「バンド」としての存在感にこだわりを見せ、「CLUB SNOWBOUND」のアルバム・ジャケットにも「MEMBER'S ONLY」の表示があります。
おれたちバンド・メンバーだけで作ったんだぜ、という姿勢が、当時の浜田省吾の音楽に対するスタンスだったんでしょうね。
そう考えると、バンドメンバーだった町支さんがリードボーカルを担うというのも、全く不思議な話ではなかったのかもしれません。
あの頃としては、結構なサプライズだったような気がしますが。

主人公が、子供のお父さんになっているのは、これが初めてかもしれません(未確認ですが)。
当時、まだ子供のいなかった浜田省吾がこんな詩を書くんだ〜と驚いた記憶があります。
10代の若者だけではなく、ある程度成長した主人公像が浜田省吾の中にはあったんでしょうね。
その頃は、まだ「DOWN BY THE MAINSTREET」の余韻残る頃でしたから、「お父さん」を主人公にした曲は、特にギャップが大きかったのかもしれません。
「何一つ若い頃の夢 かなえられずに時は過ぎたけど」というフレーズは、後期の浜田省吾に通じるものを感じます。
「夢はかなわないもの」という一定の哲学が、浜田省吾の中では確立されつつあったのかもしれません。
もちろん、現実には「若い頃の夢」が何一つかなわないままという設定は一般的ではなく、センチメンタルに過ぎる文章だと僕は思います。
ただ、この設定がその後の妻に対する愛情表現へのひとつの布石として受け止めることができれば、それは単純に「夢の放棄」という状況設定にはならないのでしょうね。

「君がおれにとって最高の贈り物さ」は、現実世界ではなかなか言えない、いわゆる「浜省節」です(笑)
言っても言われてもびっくりしそう。

時には 傷つけ合って
心も遠く離れた
でも今夜 感謝したい
傍にずっと 居てくれたこと

窓の外 降りつもる雪を
このままずっと 寄り添い 見つめてたい
Christmas Night,
I love you more than ever tonight
「今夜 感謝したい」という部分が、おそらくこの曲のテーマ。
日常生活の中で伝えることのできない素直な気持ちを、あえてクリスマスの夜という舞台を利用して告白しているという感じなのかもしれませんね。

サウンド的には、洗練されたビートルズ・ナンバーみたいな感じでしょうか。
ストレートなポップミュージックで、BGMっぽいためか印象に残りにくいのも特徴かも。
逆にいうと、クリスマスのBGMとしては最適なポップ・ミュージックかもしれませんね。
| 全曲レビュー(13-CLUB SNOWBOUND) | 19:07 | - | trackbacks(1) |
Midnight Flight-ひとりぼっちのクリスマスイブ-
浜田省吾1985年発表のクリスマス・アルバム「CLUB SNOWBOUND」収録曲です。
クリマス・ソングというカテゴリを超えて、浜田省吾のバラード・ソングの中でも重要な位置を得ています。
おそらく、このクリスマス・アルバムの中でも、この曲が最も作品としての完成度の高い作品と言えるでしょう。
テーマは「打ち明けられなかった愛」。
浜田省吾のラブソングに共通に見られる悲恋ストーリーです。
「結婚しよう」の一言が言えないままに、クリスマスの夜に彼女と別れてしまう、そんな男の子の物語です。

あの娘乗せた翼 夜空へ消えてく
空港の駐車場 もう人影もない
"行くな"と引き止めれば 今頃二人
高速を都心へと 走っていたはず
失くしたものが あまりに大きすぎて 痛みを
感じることさえも 出来ないままさ
ひとりぼっちの クリスマス・イブ
凍えそうな サイレント・ナイト
ここからどこへ行こう もう何も見えない空の下

一番の歌詞は、彼女と別れた直後の主人公の様子が描かれています。
きっと、主人公は空港まで彼女を見送ったのでしょう。
彼女が遠い外国へと旅立ってしまうことにショックを感じながら、結局最後まで何も言い出せなかった。
「行くなと引き留めれば」というフレーズが、主人公の気持ちのすべてを表しています。

妹と暮らすつもり しばらくニューヨークで
ひとりきり 東京で もう生きていけない
逢いたい時にだけ 電話かけてきて
食事して ドライブして ベッドに入るだけ
形の無い愛だけを 信じてきたあなたは
本気で愛すること 怖れてるだけ
ひとりぼっちの クリスマス・イブ
凍えそうな サイレント・ナイト
二人で生きてきた 都会の灯りが遠ざかる

2番の歌詞は、浜省のすべての歌の中でも特に好きなフレーズが集まっています。
一番の歌詞で情景を提起して、2番の歌詞に叙情的なフレーズを持ってくるのは、浜田省吾お得意の手法。
1986年に「AMERICA」で見せる作品づくりと同じテクニックがここでも発揮されています。

「形のない愛」は、初期の頃からの浜田省吾のテーマ。
「陽の当たる場所」の中で、「♪もしも、この愛に形があれば伝えられるのに、偽りのかけらもなかったことを」と歌っているように、「愛」を上手に表現することのできない男の子から女の子が離れていってしまうというシュエーションが、浜田省吾にとって重要な鍵になっているような気がします。
もちろん一番大切なことは「愛」を表現することだと男の子も知っているのだけれど、表現できないままに女の子は去って行ってしまう。
すべてを失ってしまった後で「愛に形があれば」と後悔してしまう。
そんな「陽の当たる場所」の男の子が成長して、「Midnight Flight」の中では「形のない愛だけを信じてきた」男の子になっているのかもしれません。
けれども、女の子はそんな「形のない愛」に疲れてしまっていたんでしょう。
「ふたりで生きてきた」はずなのに、「ひとりきり東京で生きていけない」と言い残して、彼女は消えてしまうのです。
形がなければ、「ふたり」でも「ひとりきり」で生きているのと、彼女にとっては何も変わらなかったことを言いたかったのかもしれません。

ポケットの中 あの娘に贈ろうとした Golden Ring
今でも 手のひらに 握りしめたまま
ひとりぼっちの クリスマス・イブ
凍えそうな サイレント・ナイト
もう守るものなんて見つけられない 何ひとつ

そして、最後に主人公の気持ちが吐露されます。
彼女に渡そうと思っていたクリスマス・プレゼントの「指輪」は、彼女に結婚を申し込む意志を示しているのかもしれません。
おそらく、彼は彼女がアメリカ行きの飛行機に乗ってしまう前に、「行くな」と彼女を引き留め、「指輪」を差し出してプロポーズするつもりだったのでしょう。
けれども、結局何も言い出せず、彼女は去り、指輪だけが彼の元に残ります。
「形のない愛だけを信じてきた」彼にとって、その決断は重すぎるものだったのかもしれません。

サウンド的には、キラキラした音を多用したダイナミックなバラード・ソングで、クリスマスっぽい雰囲気を最大限に引き出していると思います。
「少年時代のサウンド」を標榜したこのアルバムの中で、この曲だけがオールディーズっぽくなく、オリジナル・アルバムに入っていても違和感のない作品に仕上がっています。
だからこそ、現在でも定番の人気曲になっていると思われるわけですが。

浜田省吾クリスマス・ソングの傑作。
今年の冬にも聴きたい曲のひとつです。
| 全曲レビュー(13-CLUB SNOWBOUND) | 20:35 | - | trackbacks(1) |
SNOWBOUND PARTY-Tonight Vistors OK!-
浜田省吾1985年発表のクリスマス・アルバム「CLUB SNOWBOUND」2曲目です。
オープニング曲「CHAMPAGNE NIGHT」から続く感じでドラムスの音が入り、突然に明るいダンス・ナンバーが始まります。
「クリスマス!」というコーラスが何度も繰り返され、ちょっとしつこい感じがするくらいにクリスマス気分を盛り上げていきます。

粉雪舞うバス停に彼女はひとり立ってた
おれは車の窓から思い切って誘ったよ
今夜 バンドの仲間とCLUBでダンスパーティー
でも おれには連れてゆくパートナーがいないんだ

誰もが皆 彼女とずっと踊りたがったけど
スローなナンバー 踊るときにはおれだけのもの

名前さえも知らないまま 凍てつくような夜明け前
彼女を乗せたタクシー 街角に消えていった
歌の内容は、路上でナンパした女の子を連れてダンスパーティーに行ったよという、かなり古典的な状況設定のもの。
ダンスパーティーに同伴していく彼女を、ストリートでナンパするあたり、古いアメリカ映画の影響を感じさせます。
ナンパした彼女は、「誰もがこんな彼女とずっと踊りたがった」ほどの、とてもいい女。
だけど、スローなナンバー(つまり、体を密着させて踊るような曲)を踊る時には、主人公としか踊りません。
彼女の体に触れることができたのは、おそらく主人公だけだったんでしょうね。
やがて、パーティーが終わり、彼女はタクシーに野って去っていきます。
名前さえ教え合うこともなく。

これはクリスマスの夜に見た、一瞬の夢みたいなものなのかもしれません。
彼女が去ったところで夢が覚めると、楽しいクリスマスの夜の絵本になりそうです(笑)

個人的に注目しているのは「凍てつくような」の表現。
凍るほどに寒い状況を「凍てつく」といいますが、日本のロックシーンの中で、こんな言葉が使われることって珍しいような気がします。
それとも、東京や広島なんかじゃ、もっと普通に使われている言葉なのでしょうか。
少なくとも、北海道ではあまり使われない言葉だと思います(北海道には「しばれる」という方言がありますが)。
俳句の季語としては「凍月(いてつき)」「凍星(いてぼし)」「凍空(いてぞら)」などのように使われて、冷たい冬をとても良く表している言葉ではありますよね。

サウンド的には、1960年代のオールディーズを下敷きにした軽快なポップ・ミュージック。
この曲を聴いて、1961年の全米No.1ヒット曲「浮気なスー」(ディオン)を思い出すオールディーズ・ファンも少なくないはずです。
「♪クリスマース、ウォウウォウォウ〜、クリスマース〜」の部分は、「浮気なスー」のコーラスの強い影響を感じさせ、Aメロ部分も「浮気なスー」をベースにしていると思われます。
アルバムの中に、次のような浜省のコメントが掲載されています。

十代になったばかりの頃
おれは ラジオから流れてくる ポップミュージックに夢中だった
ロネッツ デュオン コニー・フランシス ニール・セダカ…
ビートルズ以前の アメリカのポップスだね
そして いつか あの頃聴いていたような感じのサウンドでアルバムを作りたいと思っていたんだけど、自分の本来のオリジナルアルバムでやるっていうのも 照れくさいし…
ということで、このクリスマスアルバムは 思い切り遊び心で楽しんでみたかった
つまり、この曲に「浮気なスー」が隠れているというのは、クリスマスを舞台にした浜田省吾とそのバンドメンバーたちの、ちょっとしたイタズラみたいなものだったのかもしれません。
そして、良い意味でこの曲は、オールディーズへの憧れが具体的なサウンドになって収録されている曲と言っていいんでしょうね。

とにかく 長い冬の夜 友達と集まった時や ひとりの時には聴いてもらえたら嬉しいな そして 俺達も 毎年クリスマスイブの夜には どこかの町でステージが終わった後は このアルバムを聴きながら 酒でも飲もうぜって言ってるんだ
まるで、1961年のアメリカにトリップしちゃいそうな、そんな素敵な曲です☆
| 全曲レビュー(13-CLUB SNOWBOUND) | 19:10 | - | trackbacks(0) |
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