2013.06.22 Saturday
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銀行と土地ブローカーに生涯を捧げるようなこの曲が発表された1990年という時代は、日本がバブル景気の絶頂にあって、束の間の幸福を体感している時でした。
悪夢のようなこの国の
飽食とエゴに満ちた豊かさの裏側で
痩せ細る南の大地
未来へのシュミレーション
破滅を示す時
鐘が鳴ってる 約束の地に
打ち上げられた罪を知る者に
鐘が鳴ってる 聖者のように
魂の声を聞く者に
闇を裂いて閃いてる
やがて1999年
サンディエゴフリーウェイを南へ走ってるウエスト・コーストなサウンドに乗って流れる歌詞は、南アメリカの風景をイメージさせる爽やかなもの。
国境線超えたら砂埃舞うメキシコ
夏の終りの乾いた風が窓から
おれの口笛吹き飛ばす
フロントガラスにテキーラサンライズ
もう誰の心も引き裂くことなんてない
この車もギターも売り払い 海辺の街
潮風と波の音を枕にひとり暮そう
ギター抱き締めて眠ったあの頃2番の歌詞はめちゃくちゃ浜省らしい叙情的なフレーズで構成されています。
貧しさと憧れの中 夢に見た R&R STAR
キャンパスを中退して長い旅に出た
果てしなく続く"ON THE ROAD"
流星のような幾千もの夜
愛してくれた人 打ちのめす程傷つけた
汚れた悲しいメロディ 身を切るように繰り返す
拍手とスポットライトと報われぬ涙の陰で
40回目の誕生日に銃による自殺は、ヘミングウェイのパロディですが、40歳の誕生日を迎えようとしていた浜田省吾の現実感が表現されています。
自分の頭を撃ち抜く奴は
あまりに一途な理想と望みを描き続けた
そんな男さ
おれを強く抱き締め つなぎ止めてくれ曲の中で、浜田省吾は何度もギターに話しかけます。
何ひとつリアルに感じられない
My old guitar 荒んだ心 静めてくれ
Emptiness まるでマイナーブルース 続くよ永遠に
愛がすべての扉浜田省吾は、「誰であれ自分で自分を救済しなければならない」と語っています。
開けてくれると信じていた少年の日々
穏やかな幸せ あまりに脆くて
強い男を演じてきた
おれは臆病風に吹かれてるだけなのか
それとも見なくてもいい闇を見たのか
My old 50's guitar「スリーコード」とは音楽を構成する中で、特に重要な3つのコードのことで、ブルースやロックンロール、フォークなどの音楽は基本的にこの「スリーコード」で構成されています。(例えば、A7-D7-E7という3つのコードだけで曲が構成されているなど、トラディショナルな音楽は非常にシンプルな構成になっている場合が多い)
何を弾こうと何処へ行こうと自由なんだぜ
でも Old guitar 魅せられたように3コードが
Restless heart まるでマイナーブルース
続くよ 永遠に
音楽をやることにおいては、僕は報われたと思うんですよ。とてつもない成功ではなかったけどもね。自分が音楽をやって、ファンに恵まれて、リスナーを持てて、だから、そういう意味では、報われたと思うんだけど、何一つ満たされなかったんですよね。結局、"MONEY" で唄った、いつか!って言いながら、"遠くへ" で唄った、遠くへ遠くへってずっと思って遠くへ来たら、結局そこもここも一緒だったという意味では、結局何も満たされなかったんだと思うんですよね。そして、浜田省吾の「心の中の暗闇」は、この後「青空の扉」に至るまで引きずられて行くことになるのです。
(ブリッジ95年10月号)
あの夏の日 草原の輝きの中心の中に深い暗闇を抱え込みながら、けれども浜田省吾は走り続けていきます。
見上げた空の透き通った蒼さに目をやられたまま