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浜田省吾を聴いてみたい方に
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恋は魔法さ


浜田省吾1995年に発表されたシングル「我が心のマリア」のカップリング曲です。
アルバムでは翌1996年「青空の扉」に収録されました(アレンジは別バージョン)。

この曲は浜田省吾のソロではなく、「浜田省吾 with THE R&S INSPIRATIONS」としてクレジットされています。
「THE R&S INSPIRATIONS」とは浜田省吾のオフィスである「ロード&スカイ」所属メンバーによって構成されたグループで、ORIGA、区麗情、スピッツ、町支寛二、梁邦彦という顔ぶれです。
さすがにスピッツが一番売れ筋という感じがしますね。

夜の海 見てたのさ ボンネット腰掛けて
六甲アイランドの埠頭に車停めてさ
振り向くとドアのところに彼女が立ってたのさ
「夜風が気持ちいいね。夜景が ほら きれいだね」
Magic in the summer night. 夢のようだった
誰だって恋に落ちるさ 見つめたら心高鳴った 
いつだって 恋は魔法さ
一目で恋したよ 神戸Girl
テーマは「恋の始まり」。
夜の海で出逢った女の子に恋をした男の子のピュアな気持ちがストレートに描かれています。
もっとも、ピュアなラブソングといっても、1970年代のようにジメジメしたリアリティを抱えたラブソングではなく、ある意味理想主義の上に立って恋愛を歌ったラブソングです。
"カリフォルニアの女の子はみんな素敵さ"と歌ったビーチボーイズに通じる、平和でほのぼのした世界がそこにはあります。

タイトルの「恋は魔法さ」は、ラヴィン・スプーンフルの「魔法を信じるかい?」を連想させます。
実際、サウンドはピュアなラブソングにふさわしいオーソドックスなオールディーズ・サウンド。
コーラスが楽しく、60年代のポップ・ミュージックの持つ魅力を美しく再現しています。
そういえば、50年代から60年代にかけてのポップ・ミュージックには脳天気なラブソングがたくさんありました。
ポップ・ミュージックはピュアなラブソングのために存在したと言ってもいいくらいです。
底抜けに明るくて楽しいメロディと、ピュアなラブストーリーが見事に組み合わされて、あのオールディーズは成立していたのですね。
そして、この「恋は魔法さ」は、タイトル、歌詞、サウンドのいずれにも、オールディーズの持つ軽快な魅力が溢れています。

この曲は、1995年に大きな被害をもたらした阪神淡路大震災の被害者救済を目的としたチャリティーCDでした。
もっとも、チャリティーであることの大きなプロモートは行われず、ただ売り上げを震災の復興のために寄付されることが、クレジットに小さく表記されているだけです。
チャリティに関しては、浜田省吾は「アフリカ・セッション」以来、相当のトラウマを抱えていると思われますが、それだけに彼のチャリティに対する取り組みには真摯なものが感じられます。
歌詞の中の「神戸Girl」や「神戸Boy」には、そうした震災被害者を勇気づけるメッセージが含まれているんですね。

もっとも、チャリティーであることを除いても、作品としての完成度はかなり高いものだと思います。
本来、浜田省吾の中に培われてきたアメリカン・ポップスやマージー・ビートへの憧憬が、この曲では見事に表現されているんですよね。
みういうピュアで前向きな音楽を、もっと聴きたいですね☆

| 全曲レビュー(21-青空の扉) | 20:29 | - | trackbacks(1) |
彼女はブルー
浜田省吾1996年発表のアルバム「青空の扉」収録曲です。
浜田省吾先生お得意の「友達以上恋人未満」な男の子と女の子の関係を歌った歌です。
一緒に暮らしていた彼氏の部屋を出てきたばかりの女の子と、その女の子に密かに恋心を寄せている男の子。
歌は男の子の気持ちを歌う形で進行していきますが、男の子は自分の思いを遂げることなく、女の子のお世話をしちゃってます。
「もうひとつの土曜日」の別バージョンという感じもしますが、「もうひとつ」のように男の子が踏み出したりしないところが、この歌のポイントです。
冷静に考えてみると、男の子にとっては非常に「おいしい」状況だと思われるのですが、踏み出そうとはしないところに男の子の、あるいは作者である浜田省吾の信条が現れているような気がします。

君の部屋はまだ家具もなくて
彼のアパート出てきたばかり
"カーテンの色は何色がいいかな…"なんて呟いてる
片想いのままで終わらせるはずの心が揺れるよ
今夜 君とどこか遠くの海まで走りたい
でも君の心は今もブルー
その唇にそっとキスしたいけど このまま帰るよ
明日も友達で会えるから
ピュアだった1970年代の浜田省吾がそのまま大人になったような歌詞に共感を覚えちゃいます。
なんだか相変わらずだな、って感じで。
でも、こういう大人のラブソングが出てきたことっていうのは、実はとても重要なことなんじゃないかなって思います。
大人になったら、いつでも誰かと簡単にセックスしているっていう、そういう音楽の中のイメージをぶち壊してくれる歌っていうか。
20代になっても30代になっても片想いしてたっていいじゃないか、10代の頃のピュアの心を持ち続けていてもいいじゃないかっていうメッセージ。
ある程度の年代になった人たちにとっては、とても力強いメッセージ・ソングだったんじゃないでしょうか。
簡単にヤッちゃう女よりも、もっと大切なものがあるんだという気持ちが、この歌からは溢れているんですよね。
もちろん、主人公の性格が弱いということも考えられるのですが(笑)
僕はこの歌をもっと肯定的な片想いのラブソングとして考えたいと思ってます。

過ぎた日々の彼との想い出を話してる
窓の外を見つめて
"愛ははかなく 契約なんてないのよ"と笑いながら
何も食べてないんだろう?
痩せたね 横顔 悲しいくらいに
まあ、こういう恋はひとつの勇気ではないかと思われます。
「いい人ね」で終わってしまう恋なのか、あるいはこの後に「もうひとつの土曜日」へと発展していくのか、それはやっぱり男の子の決断次第なんじゃないかなという気がして。
でも、世の中、出会い系だの不倫だのが当たり前のような世の中になっていて、まだこういうピュアな歌が存在することに、僕は心からほっとしますね。
倫理(人の道)踏み外した恋愛を罪の意識なく話せる人ばかりの世の中で、「友達でいたいから、キスもできない」なんてちょっと信じられませんから。
まあ、不倫の恋も浜田省吾先生お得意のテーマなんですけれど(笑)
あれ、この歌の主人公って独身なんですよね?
これで男の子が妻帯者だったりしたら笑っちゃいますね。
それもある意味浜省らしいけれど。

「愛がすべてだよ」って不倫相手にささやくよりも、「友達でいたいから、キスできない」って行動で示す方が、僕にはとても真っ当な生き方だと思っています。
これからも、そう思い続けたいし。

| 全曲レビュー(21-青空の扉) | 18:06 | - | trackbacks(0) |
君がいるところがMy Sweet Home
浜田省吾1996年のアルバム「青空の扉」収録の「君がいるところがMy Sweet Home」です。
もうずいぶん前の曲になっちやうんですね、これも。
「青空の扉」なんてつい最近の作品だとばかり思っていたのに。
1993年発表の「その永遠の一秒に」がとてもシリアスなアルバムだったので、このアルバムを聴いたときには、とても安心したような記憶があります。
その中にあって、特に浜省らしいサウンドと歌詞を持っていたのが、この「君がいるところがMy Sweet Home」です。

サウンド的にはオーソドックスなロックンロールで、ダンスミュージックとしてのロックンロールを楽しむことができます。
ただ、30代の頃の荒削りだけれどビートの効いた音とは違って、品良くまとまったサウンドになっているような気がしました。
浜省が浜省のモノマネをしている音というか。
ただ、サウンド的には確実にレベルアップしていたことは確かだと思いますが。
きれいにまとまっているところに不満を感じる部分はあったとしても。
バックコーラスにはビートルズの強い影響が感じられて、コーラスそのものもひとつのテーマになっています。
(ちなみに、「鳥のように自由さ〜」は1995年に発表されたビートルズの新曲「FREE AS A BIRD」のパロディですよね。ビートルズの新曲に何らかのメッセージを発信したかったのかなと)

歌詞も、いかにも浜省節が炸裂しているという言葉が並び、それはそれで楽しかったです。

電車乗り換え歩き回り仕事見つけてきた
ちょっときつい仕事だけど太陽の下の作業
仲間が集まりおれの為に開いたパーティ
「お前もやっと大人になった」なんて言われてさ
この「お前もやっと大人になった」という歌詞を聴いたときには、僕らも年を取ったんだな〜としみじみ感じました。
浜省の歌でそんなことを言われるなんて、実は結構ショックだったのです。
いつまでも大人になれない少年の歌ばかりだと思っていたのに(笑)
やっぱり人はいつまでも「ハートはティーンエイジャー」なんて言っていられないんですよね。

いろんな国を旅してきた 遠い空の下で
帰るべき場所がどこかわからなかったよ
愛する人の住むところが どこだろうが故郷さ
君の住む街が My home town.
君のいるところが My sweet home.
このアルバムが発表されるずっと前、ある雑誌に橘いずみの短いエッセイが掲載されていました。
ちょうどその頃、橘いずみは自分の音楽に行き詰まりを感じていたようです。
東京という街の重さにも疲れて、自分の将来を考える時期にあったのかもしれません。
ある夜、橘いずみは事務所で偶然に浜田省吾に会ったそうです。
短い時間、浜田省吾と話をする機会を得て、橘いずみは自分の行き詰まりをつい話してしまったとか。
そのときに、浜田省吾はこう言って彼女を元気付けたそうです。
「愛する人が住んでいるところが故郷なんだよね」
かー、浜省って普段からこんなこと言ってるんだ〜とサプライズです(笑)
いずみちゃんも驚いたようですが、この浜省の言葉でもう少し頑張ってみようと思ったそうですから、さすが浜省!

しばらく後、浜田省吾の新譜が出たと聞いて、早速曲目をチェックしていると「君がいるところがMy Sweet Home」のタイトル。
歌が先だったのか、いずみちゃんを励ましたのが先だったのか、それは知る由もありませんが、さすが浜省!

かつての、心の内側をえぐるような音楽とは違いますが、浜省らしさを楽しませてくれる曲ってところでしょうか。

| 全曲レビュー(21-青空の扉) | 21:42 | - | trackbacks(0) |
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