2005年発表のアルバム「My First Love」のタイトル曲「My First Love」。
今夜はゆっくりとこの曲に向かい合ってみたいと思います。
じっくり聴くだけの価値がある曲だと思いますので。
曲のテーマは、「浜田省吾という人間の音楽的な成長」。
自分の音楽との出会いから、プロのミュージシャンになってからの道のりを回想的に描いています。
プロになるまでの道のりを歌った歌というのは良くありますが、(たとえば、世良公則「ストーンズが聞こえた朝」、SION「風向きが変わっちまいそうだ」、エコーズ「Tug of street」みたいなやつ)」、プロになってからの成長物語というのは案外珍しいかもしれません。
海辺の田舎町 10歳の頃
ラジオから聞こえてきた"The Beatles"
一瞬で恋に落ちた
教室でも家にいても大声で歌ってた
"I wanna hold your hand"
"Please please me"
"Can't buy me love"
浜省のビートルズとの出会いは、これまでに幾多のところで語られてきたとおりで、浜省の音楽の根底には常にビートルズの存在があったといえます。
ちなみに、「I wanna hold your hand(抱きしめたい)」は1964年のビートルズの日本デビューシングル、「Please please me」は日本第2弾シングルで、日本の少年がビートルズに出会うお約束のメロディだったことでしょう。
この後、浜田省吾というミュージシャンが少年の頃に影響を受けた音楽が綴られています。
ボブ・ディランは「路地裏の少年」で、「古ぼけた フォークギター 窓にもたれ 覚えたての『風に吹かれて』」と歌われた「風に吹かれて」の作者で、1960年代のフォーク&ロック界では欠くことのできない存在。
ビーチ・ボーイズに大きな影響を受けているのも周知のところで、「二人の夏」や「LITTLE SURFER GIRL」などのサーフ・ミュージックには、その辺りを思い切り反映させています。
モータウンやメンフィス・サウンドはリズム&ブルースに憧れた浜省のルーツのひとつ。
世界中のR&Bミュージシャンはメンフィスに憧れを持ち続けているんですよね〜。
ちなみに、忌野清志郎はメンフィスの名誉市民だそうです(♪名誉市民の僕だから〜、という歌もありましたね)。
僕は浜田省吾から洋楽に入っていったので、ルーツ・オブ・浜田省吾を一生懸命に聴きました。
それこそ、ビートルズ、ビーチボーイズからモータウンまで。
「時代は60年代 Love Peace & Rock'n Roll」は、団塊の世代には懐かしいキーワードです。
昭和27年生まれの浜省が「団塊の世代」に属するかどうかは微妙なところですが、少なくとも「団塊の世代」の空気を目の前で感じていたことは確か。
写真を撮影する時の「ピース・サイン」なんて、団塊の人たちの財産ですよね〜、関係ないけれど。
愛と平和とロックンロール、これにドラッグが加わって60年代のヒッピー・ムーブメントという感じですね。
1974年 21歳になった年
「旅の暮らし」が始まった
オレの初恋はRock'n Roll
そして今も夢中で追いかけている
1974年は、吉田拓郎のバックバンドとして、浜田省吾が初めてプロのツアーに参加した年で、プロとしての浜省がスタートした記念すべき年になりました。
サビの「オレの初恋はロックンロール」は最高ですね。
浜田省吾以外、誰も歌えません、こんなの(笑)
佐野元春でも辻仁成でも桑田佳祐でも無理でしょう、きっと。
偉大だ、浜田省吾(前から思ってたけれど)。
迷いと混乱の中 沈んでいた70年代
救ってくれたのは"Bruce Springsteen & Jackson Browne"
鐘が鳴るように甦る"Old time Rock'n Roll"
心の中叫んだ"Bringing it all back home"
浜田省吾の人生を変えたともいえる、1970年代から80年代への転機を歌った部分です。
「何を歌っていいか分からなかった」1970年代の浜田省吾を救ったのは、ブルース・スプリングスティーンとジャクソン・ブラウンでした。
1980年発表の「Home Bound」で浜省は「日本のスプリングスティーン」としての地位を獲得、それまでの停滞が嘘のような疾走を開始します。
ジャクソン・ブラウンはロック・ミュージシャンの立場から社会的なメッセージを発信することの影響を大きく受けます。
「Bringing it all back home」はボブ・ディラン1965年の古いアルバム、「On The Road Again」が収録されているアルバムでした。
僕は「路地裏の少年」から「風に吹かれて」を聴き、ボブ・ディランから彼の師であったウディ・ガスリーに入り、ガスリーから多くのアメリカン・フォーク・ミュージシャンや日本のプロテスタント・フォークに夢中になりました。
まさしく浜田省吾様々です☆
「アメリカ生まれのRock'n Roll
やっているオレは誰だ…?」
自分を探した「J.Boy」
オレの恋人はRock'n Roll
そして今も夢中で追いかけてる
この歌の中で、浜田省吾は「J.Boy」までの自分を歌っています。
つまり、ある意味では浜田省吾の成長は1986年の「J.Boy」でひとつの区切りを付けていると考えることができるようです。
全体を通して浜田省吾というミュージシャンのノスタルジーという説明ができそうですが、古くから浜田省吾を聴いてきたファンにとっては、共有できるノスタルジーともいえそうです。
もちろん、60年代や70年代のフレーバーをふりまきつつ、その時代を回顧するノスタルジックな歌にはけっしてならないところが、浜田省吾の“現役性”である。
これは公式サイトでの解説ですが、僕はこれはやっぱり「ノスタルジー」だと思います。
ただ、現役選手のノスタルジーを否定する必要はどこにもないわけだし、このノスタルジーがかつて「ストリート派」と呼ばれたロックンローラー浜田省吾の現在であることを誇ってほしいとさえ思うほどです。
サウンド的には70年代のイーグルス・サウンドを現代的に再現したようなイメージを受けました。
バックコーラスの中に、ザ・フーの「マイ・ジェネレーション」やビーチボーイズの「グッド・バイブレーション」などのフレーズが入っているのはファンを楽しませてくれますよね。
アコギで弾き語りしていて楽しい曲です♪
うーん、こういうこと書いてると、やっぱり古いロックンロールを聴きたくなってきますね。
「ルーツ・オブ・浜田省吾」なんていうテーマでライブやったら面白そうですね。
ずっと以前に桑田佳祐がやってたような気もしますが。
山下達郎なんかも好きそうですね、そういうの。