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浜田省吾を聴いてみたい方に
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花火
浜田省吾2005年発売のアルバム「光と影の季節」に収録された「花火」です。
テーマは「家庭を捨てた男の物語」で、ある日突然家族を捨てて家を出た男が、自分の過去を現在付き合っている女性に告白するというストーリーになっています。
近年の浜田省吾はかつてのストリート派としての立場よりも、フィクションライターとしての方向性に力を入れているように感じられますが、この曲もそうしたフィクションライティングとしての傑作として扱われることになりそうです。

特徴的なのは「Thank you」と同じくストーリーにリアリティが全然感じられないこと。
浜省のフィクションは、そこからすべてのリアリティを剥ぎ取って、カラカラに乾いた事実だけを突きつける手法にこだわっているようにさえ受け取れます。

暮らしには困らぬように稼ぎはすべて送った
今でも部屋には幼いままの子供達の写真
何故か すぐに帰るつもりで車を車庫から出して
アクセル踏み込んだ
すぐに帰るつもりで家を出て
もう5度目の夏の夜空に花火
歌詞の中からは、男がなぜ家庭を捨てたのか、その経緯は描かれていません。
また、男が現在どのような生活をしているのかも不明で、唯一「これが俺の物語 君の心 失っても隠せない」と言っているように、現在は新しい女性と恋に落ちていることを推測させるだけです。
つまり、男の背景や人生が描かれていないことがストーリーにリアリティを与えない効果をもたらしていて、男の淡々とした告白だけが浮かび上がってくるのです。

「稼ぎはすべて送った」などの部分もリアリティに欠ける部分。
「すべての稼ぎ」を送っても暮らしていけるほど、男の生活には余裕があるのか、現在の男の生活背景が不明なだけに、この辺りにも消化不良が残ります。

一方で、ほとんどのシーン設定が不明であるということが、逆にオーディエンスの想像力を膨らませることもまた確かです。
男は多額の借金を背負って蒸発したのか、不倫相手の若い女性と一緒に暮らすために蒸発したのか、それとも本当に特段の理由もなく、ただフラフラと蒸発したのか。
5年の間、男はどこでどのような生活をしていたのか。
そして、「君」とは誰なのか。
そんなたくさんの疑問が浮き上がるようにして、この男の物語は我々に静かに語りかけているのです。

ただ、歌詞の中には男の妻の話題が出てこないというヒントだけは明らかです。

■娘はもう二十歳 恋人もいる年頃
■下の子はサッカー好きの子で 次の春には高校
■今でも部屋には幼いままの子供達の写真

家族についての表現は以上の3点で、これらはいずれも子供達についてのもの。
つまり、男と男の妻との間には既に精神的な繋がりは見られないということだけは明確に推測できるのです。
蒸発した男から定期的にお金が送られてくるだけでは、残された妻としては新しい夫を見つけることもままならない状況になってしまいますが、既に二人の間で離婚が成立していたとしたなら、男と妻との関係については説明がつくような気がします。

もしかすると、この歌は残された妻の物語でもあるのかもしれません。

| 全曲レビュー(26-My First Love) | 18:45 | - | trackbacks(0) |
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