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浜田省吾を聴いてみたい方に
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BLOOD LINE(フェンスの向こうの星条旗)
浜田省吾1988年発表のアルバム「FATHER'S SON」収録曲です。
メッセージ・ソング全盛期のハードロックで、「MONEY」の続編のようなイメージを与えました。
テーマは「日本を探して」ということで、前作「J.BOY」から引き続く自分探しの旅に決着を付ける曲となりました。

青い目をしたCFガール 笑うTVブルース
夢見る様な Like a west coast life
見なよ 街行く奴等を まるでW・A・S・Pだぜ
クールにきめ Like a New York style
犯されて Since 1945
生まれて詰めこんだ大量のジャンク・フードとアメリカン・パイ
この時期の浜田省吾の大きなテーマは「自分は何者なんだ?」ということでした。
「J.Boy」で敢えて「日本人」である自分を確認しながら、その自分に繋がる系譜をずっと探し続け、その答えが「BLOOD LINE」で示されたわけです。
浜田省吾の出した結論とは、「自分たちはアメリカに犯されて生まれた私生児である」というものでした。

昭和27年生まれの彼らは、戦後の日本に駐留したアメリカ軍の作り上げた「日本文化」の中で生まれ育ち、それは日本がアメリカに強姦されて生まれた私生児のような存在だと定義したのです。
日本文化は、古代から連綿と続いた伝統ある文化でしたが、昭和20年代の占領により、日本文化はたちまちアメリカ文化に取って代わられました。
その様子は、無抵抗の女性が暴漢にレイプされるのと同じようなものだと、浜田省吾は考えたのです。
ロックンロールやジャンクフードなどといった若者達の文化は、アメリカの暴挙によって生み出されたものであり、そうした文化の上に成立するロックスターという自分の存在と、彼はこの曲によって対峙していたのです。
「BLOOD LINE」とは動物などの血統を意味する言葉ですが、この曲の中では、自分自身の中を流れる「血」そのものを浜田省吾は意識しています。
「東洋人の外見をしていながら、体の中にはアメリカ人の血が半分流れている」というコメントに、この曲を作った時の彼の気持ちが表れています。
もちろん、彼は自分の中に流れるアメリカの血に喜んでいるわけではありません。
悲劇的な歴史の上に成り立つ自分の存在を複雑な気持ちで見つめていたのです。

今夜 真冬の八番街 凍えて歩いてる
感じる おれの中 もうひとつのBlood Line

I've been looking for Father
帰る場所もたどり着く場所も無くて
見つけても Father 戸惑うだけ
幻想を背負う Rock Star
「幻想を背負うRock Star」というフレーズに、この曲のすべてがあります。
「J.Boy」で初めてのアルバム・ヒットチャートNo.1を獲得し、長年の夢を実現した浜田省吾が得たものは「ロックスターとしての虚無感」でした。
同じく「FATHER'S SON」に収録された「DARKNESS IN THE HEART」の中でも、「今夜 ON THE ROAD、空しく拳を突き上げ、叫ぶ歌は答えのない、心の奥の暗闇」と歌っているように、歌うことの虚しさ、支持されることの虚しさを、この時期の浜田省吾はずっと感じ続けていたのでしょう。

もっとも、発表当時にそんな深刻さを正面から受け止めたような評価はほとんどなかったような気がします。
誰もが浜田省吾はノリにのってるロックスターだと思っていたし、マイナーコードのハードロックに「浜省はクールでカッコイイ」という外見的な評価だけが先行し、そのことが一層浜田省吾を追い込んでいくことになります。
素直に拳を突き上げているだけは解決しないものが、浜田省吾の歌の中には存在していたのです。

| 全曲レビュー(14-FATHER'S SON) | 10:16 | - | trackbacks(0) |
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