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浜田省吾を聴いてみたい方に
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A RICH MAN'S GIRL
浜田省吾1986年発表のアルバム「J.Boy」収録曲。
近年のライブでセットリストに入ることはほとんどないと思われ、人気アルバム「J.Boy」の中でも意外と地味な作品になっているかもしれません。
その理由は、あまりにも時代性が顕著である表現方法にあるということは間違いないでしょう。

この作品が発表された1986年という時代は、バブル景気の幕開けとも言える年であり、「男女雇用機会均等法」が施行されるなど、労働に対する価値観が大きく変化しつつあった時代でもあります。
世の中の価値観が「金銭的価値」をより重視する風潮が既に見え始め、日本は既に「踊り始めて」いました。
教室じゃ天使 キャンパスじゃ天使
でも街では She's a rich man's girl.
 "Money is money" 君の口癖 「愛などあてにならない」
She's a rich man's girl.
You're a pretender 望みはすべて
Never surrender  手に入れても
Don't you remember 寂しいのはなぜ
Tokyo city lights 夜にはぐれないように
Tokyo city lights 祈るよ Good luck.
テーマの「金持ちの男の女」は、実は比較的浜田省吾作品の中では普遍的なテーマとも言えるものでもあり、金も名誉もない青年が、純粋に一人の女性に憧れているといった構図は、どらちかと言えば浜田省吾的なものとさえ言えるほどです。
現在でも歌われている「丘の上の愛」に描かれている愛の世界が、浜田省吾の基本線と言って良いでしょう。
 
そうしたことを踏まえながら、この作品を鑑賞してみます。
彼女がつぶやく「愛などあてにならない」というフレーズは、繰り返された裏切りの末の言葉なのか、時代背景が言わせているものなのか、不明です。
ただ、「望みはすべて手に入れても寂しいのはなぜ」というフレーズを最後に挿入することによって、主人公は、必ずしも金銭がすべてではないことを示唆しています。

ただし、彼女の具体的な寂しさは描かれていません。
この部分が「丘の上の愛」との大きな違いとなっています。
おそらく、作者である浜田省吾は、この作品を綴るときに「丘の上の愛」の世界が念頭にあったものと思われます。

テーマやバックグラウンドとしては、街角にありふれている普遍的なものを歌いたかったはずです。
一方で、そこに「現代日本社会」というスパイスを使わなければならないという必然性も感じていたことでしょう。
そして、そのスパイスとして用いられたものが、英語フレーズの多用と自分を崩すことのない対面性を重視する現代的な主人公だったわけです。
タフなハートと息を飲むほどの美しさ
I'm crazy for you.
夜の街へ出て行く君を止められない
I'v been cry'in for you.
Too many hands 冷たい腕に
Too many chains 抱かれた後の
Too much pain ため息はなぜ
Tokyo city lights 君を買い占めたいよ
Tokyo city lights いくらだい How much is your love?
主人公の現代性は、2番のサビ部分のフレーズで、一層明らかとなります。
「丘の上の愛」では、「愛が買えるなら」と疑問を投げかけていたはずの主人公が、ここでは「君を買い占めたいよ、いくらだい?」と、金銭で解決する姿勢を見せているのです。
もちろん、これは本当に彼女を金で買い占めたいという思いよりは、そのくらいに彼女を愛しているという比喩的な表現であると考える方が妥当でしょう。

ただし、その最上級の愛の表現が「君を買い占めたい」であったところに、間もなく訪れるバブル景気の狂乱を予測させているのです。
金持ちには金で対抗する、それが1980年代後半の考え方でした。
そして、そうした時代の流れを敏感に察知していた浜田省吾は、片思いに苦しむ主人公をそうした社会の中に放り込んでみせたわけです。

それにしても、この英語フレーズの多さは、特筆すべきもの。ライク・アメリカンな浜田省吾が絶好調だったんだろうなあという感じです。

サウンドとしては、キラキラとポップなダンスナンバー。ライブでも盛り上がりそうなリズムとメロディですが、残念ながらテーマが斬新すぎたものは古くなりやすいという法則にはまってしまった、そんな曲のようです。




JUGEMテーマ:音楽
| 全曲レビュー(12-J.BOY) | 19:23 | - | - |
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