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ガラスの部屋
浜田省吾1980年発表のアルバム「Home Bound」収録曲「ガラスの部屋」です。
このアルバムからロックンロール全開のスタイルへと転換した浜田省吾ですが、バラードでも素晴らしい作品をいくつも残しています。
ブルーススタイルのこの曲も、当時の浜省らしい作品として、地味に人気のある曲でした。

テーマは、またまた「壊れていく愛」。
この時期の浜田省吾のラブソングの多くには、少しずつ壊れていく愛が実によく登場します。
当時の子どもたちは「片恋」とか「失恋」などではなく、「破恋」であるところに、大人のラブソングを感じたものです。
ハマショー、カッケー!みたいな(笑)
 
床の軋む狭い部屋で 体寄せて眠ったね
いつかお前こんなとこから連れ出すと誓った 闇の中で
固い喉にコーヒーだけ流し込んで走ったね
駅のホーム 日射し浴びて お前は誰より素敵だった
疲れ果てて すれ違って 少しずつ欠けていく優しさ
でも愛まで壊れてくとは思いもせずに

歌詞は、二人の男と女の暮らしの場面から始まります。
床がキシキシと音を立てるような古くて、そして狭い部屋。
体を寄せ合って眠るのは、もちろん部屋が狭いからで、同時に二人の愛の深さを感じさせます。

暗闇の中、男は女の肩を抱き寄せながら呟きます。
「きっといつか、こんなところから連れ出してあげるよ」
翌朝、二人は会社へと出勤していきます。
寝起きで冴えない頭を切り換えようと、熱いコーヒーだけを流し込んで、二人は仲良く部屋を出たことでしょう。

朝日を浴びて駅のホームに立つ彼女を見て、男は彼女の美しさに幸せを感じています。
そんな二人の生活描写は、まるで映画のワンシーンのようです。
そして、そんな幸せな生活描写から一転して、曲は説明的なフレーズへと転換します。
あるいは、最初の生活描写は、幸福だった頃を思い浮かべている、男の回想シーンだったのかもしれません。

貧しい暮らしに疲れ果てていく二人。
忙しい仕事に追われて、少しずつすれ違っていく二人の心。
こうした場面展開は、浜田省吾のラブソングの多くの作品で用いられているもので、そこに、永遠の愛に対する浜田省吾の懐疑的なスタンスが一貫して現れているのです。
 
待ち合わせて食事しても 何も話すことがない
いつからこんなに遠く離れてしまった二人の心
車なんて欲しくもない 広い部屋もいらないよ
寒い夜を暖めあえた二人の温もり ただそれだけで
 
曲の後半で、二人はとうとう破局を迎えます。
そして、愛が壊れた原因が明確に示されていないことも、こうした作品に共通している特徴のひとつです。
それは、多くの愛がひとつの決定的な理由によって失われていくものではなく、日常の些細なすれ違いが引き起こすものであるということを、作者が経験的に知っていたということなのかもしれません。

曲の冒頭部分で、「いつかこんなとこから連れ出す」と誓った主人公の台詞。
そして、曲の終盤で呟かれる「車なんていらない、広い部屋もいらない」という主人公の台詞が対照的なコントラストを見せて、音楽は終わります。

この作品の見所は、まさしくこの「車なんて欲しくもない」という最終フレーズの部分。
失った愛の大きさを主人公が体全体で受け止めていく様子が、何気ないつぶやきという形で最大限に表現されているのです。

「ガラスの部屋」という曲名は、1969年に公開されたイタリア映画へのオマージュで、青春映画への造詣が深い浜田省吾らしいタイトルですね。

| 全曲レビュー(6-HOME BOUND) | 22:53 | - | - |
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