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浜田省吾を聴いてみたい方に
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パーキング・メーターに気をつけろ!
浜田省吾1982年発表のアルバム「PROMISED LAND」に収録された曲です。
かなり刺激的なフレーズが目立つ、浜田省吾らしいメッセージソングです。
もっとも、今ではあまりにもリアルすぎて歌えないかもしれませんね。

歌詞のストーリーは、好きな女の子に振り向いてもらえない男の子の気持ちを歌ったもので、彼は嫉妬に狂うあまりに彼女を殺してしまおうとさえ思います。
その一方で、彼女を殺したくないという気持ちも存在するという、そんな感じの内容です。

好きな女の子への愛情と憎悪を同時に持つ精神状態のことを、心理学用語で「アンビバレンス」と呼んでいます。
これは精神分裂症の一種で、相反する感情が同時に存在する極めて特殊な精神状態を意味しているそうです。
幼い男の子が好きな女の子への表現方法が分からずに意地悪してしまうのとは違って、「愛している」と「憎い」がどちらも本気で存在しているところに、この精神状態の特殊性があります。

汗まみれ 1日10時間 働きどおしで疲れ果てていた
Last Night あの娘を食事に誘って 冷たくあしらわれた
ジェラシー 嵐のようなジェラシー
あの娘が誰か他の奴と 街角を腕を組み歩いていた それだけさ
荒れ狂う嫉妬の嵐の中で、彼は思い通りにならないなら、いっそ彼女を殺してしまおうとさえ思い込みます。
あるいは、彼女を殺してしまうことで、彼女を永遠に自分だけのものにしようと思っていたのかもしれません。

誰か おれを静かに眠らせてくれ もう疲れた
走れない もう走れない おれの胸を撃ち抜いてくれ

どうか あの娘を助けて
おれのナイフがあの娘の背に
わからない わからない 愛していた それだけさ
その一方で、彼の心の中では「彼女を殺したくない」という感情が同時に存在しています。
彼女を殺したいという感情と、彼女を殺したくないという感情。
彼女を愛しているという感情と、彼女を憎んでいるという感情。
おそらく既に彼の頭の中では冷静な判断をすることは困難なのでしょう。

もちろん、浜田省吾がこうした狂気に満ちた愛情に正当な理由を求めたわけではありません。
この曲を提示することで、彼は現代社会(あるいは近未来的な社会)に対してひとつの警告を与えていたのです。
アルバム「PROMISED LAND」は進む地球の環境破壊に警告を投げかける壮大なテーマを掲げましたが、その環境破壊と同じ並びで、歪んでいく現代の若者達の気持ちを歌ったと思われるのです。
それは、ストーカーが氾濫し、簡単に女の子を監禁して殺してしまう現代の社会に対する予感のようなものだったのかもしれません(なにしろ1982年当時、「ストーカー防止法」の制定なんて議論さえなかったはず)。

ヘヴィなテーマをポップ・ミュージックに仕上げる手法は、浜田省吾の常套手段。
軽快なロックンロールのリズムに乗せながら、歌うテーマは社会への警告という浜田省吾スタイルが、既に確立されていたんですね。
曲名の「パーキング・メーターに気をつけろ!」は、ボブ・ディラン1966年のアルバム「Bringing It All Back Home」収録の「Subterranean Homesick Blues」の歌詞からインスパイアされたものと思われます。
♪心の中 叫んだ "Bringing It All Back Home"〜ってやつですね(笑)

狂気に満ちた歌ですが、昔から大好きでした。
本気で女の子を好きになるって、こういうことなのかと真剣に考えたり(笑)
もちろん、実際に女の子を刺し殺すような状況に陥ったことはなかったわけなんですが(当たり前か)。

もしも、男の子の生活環境や成長過程がきちんと把握されていたとしたなら、この歌のような悲劇的な事件は引き起こされなかったかもしれません。
そして、こうした事件を現実に引き起こす現代社会の中では、いつ自分がナイフを持つ側の人間になったとしても不思議ではないんですよね。
僕たちはこの歌の中に潜む浜田省吾の社会的メッセージを、もっと強く感じても良いような気がします。
| 全曲レビュー(9-PROMISED LAND) | 19:23 | - | trackbacks(0) |
バックシート・ラブ
浜田省吾1982年のアルバム「PROMISED LAND」に収録された「バックシート・ラブ」です。
タイトルがまず良いです。
古き良き時代のアメリカのロックンロールを感じさせるタイトルです。
当時、この曲は「PROMISED LAND」というアルバムのB面で、「DJお願い!」「バックシート・ラブ」「さよならスウィートホーム」と続く3部作の真ん中の1曲でした。
だから、レコードのイメージで、どうしても3曲の流れで体が覚えているんですよね。
アルバム「DOWN BY THE MAINSTREET」に収録された「MIRROR」「A THOUSAND NIGHTS」「HELLO ROCK & ROLL CITY」と同じような感じ、いや、やっぱりそれ以上に「3部作」のイメージって強かったかもしれません。

テーマは「カーセックス」、と言っちゃ身も蓋もありませんね(笑)
自動車の後部座席で愛し合う男女の熱い恋の物語です。

放課後 体育館の裏 早く着がえて来るんだぜ
今夜のRock'n Roll show
ワインもほら買っといたよ
車は兄貴の70年型
今夜 二人きり 夜が更けるまで走るぜ
これって、高校生の設定なんでしょうか。
授業が終わって彼女と待ち合わせをする主人公の熱い欲望が全体にあふれています。

Hey 起きなよ もう2時だぜ
ねえ 俺のTシャツはどこ?
うまい言い訳を考えといた方がいい
彼女と2人でロックンロールショーを見た帰り、「ディスコじゃ気が滅入るぜ」なんて言いながら、人気のない丘に登り、街の夜景を眺めながら、バックシートでメイク・ラブしちゃいます。
まさしく浜省ワールド。

でも、この歌の本当にカッコいいところは、やっぱり次の部分だと思うんです。

上にも下にも行けない
こんな街はもうじきすぐ 卒業したらさよならさ
ついて来るかい?
若い時代の浜田省吾にとって、「街を出ていくこと」は永遠のテーマでした。
それは、高校生だった頃の浜田省吾の生き方をストレートに反映しているものなのかもしれません。
いろいろな街で男の子達は「街を出ていく」ことばかりを考えながら生きていたのです。

街を出るテーマについては、この後ゆっくり考えることとして、サウンドにはルーツ・オブ・ロックンロールと呼ぶべきオーソドックスなロックチューンで、3分間、フェイドアウトなしという、まさしく黄金時代のお約束に従った軽快なサウンドに仕上がっています。

車は兄貴の70年型
いつか二人きり 夜が明けるまで走ろう
たった3分間の中に、浜田省吾やロックンロールの持つ魅力がたっぷりとつまった音楽。
最高のロックンロールです。
| 全曲レビュー(9-PROMISED LAND) | 23:13 | - | trackbacks(3) |
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