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浜田省吾を聴いてみたい方に
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片想い
浜田省吾1978年発表のアルバム「イルミネーション」収録曲。
かつて、浜田省吾といえば「片想い」という時代が確かにありました。
「風を感じて」と「片想い」の浜田省吾っていう。
時代は変わって、浜省はビッグスターになってしまったけれど、この曲の人気の高さは相変わらずです。
個人的にも思い入れが強くて、なかなか冷静には振り返ることの難しい曲。
といっても、僕は1983年発表「SAND CASTLE」バージョンの方が好きだったわけなんですが。

あの人のことなど もう忘れたいよ
だってどんなに想いを寄せても 遠く叶わぬ恋なら
気がついた時には もう愛していた
もっと早く「さよなら…」言えたなら
こんなに辛くはなかったのに
「片想い」の素晴らしいところは、あまりにもピュアなその歌詞と、ポップ・ミュージックとして完成されたメロディ、その両面にあると思われます。
まず歌詞ですが、叶わぬ恋を歌ったラブソングなんて世の中に無数にあると思われるくらいに、テーマとしてはかなりありふれたテーマです。
それなのに、浜田省吾の「片想い」には実際に片恋の中で苦しんでいる若者が描いたかのようなリアリズムがあります。
それは、多くの体験を得た大人が若い頃を振り返って作る詞とは違って、現実にその中にいる者だけが書くことのできるリアリティです。
もちろん、歌なんてノンフィクションである必要はありませんから、この「片想い」もフィクションかもしれません。
けれども、大切なのはその中からどれだけリアリティを拾い出すことができるかという部分だと思われるのです。

そして、浜田省吾のバラードソングの中でも極めて秀逸なメロディ。
ノスタルジックでありながら、旋律としての美しさを決して置き去りにしていないところに、メロディ・メーカーとしての浜田省吾の人気が分かるような気がします。
なにより、個性的な浜田省吾の声質と歌が見事にマッチングしているというところで、この歌は完成されているのではないでしょうか。

あの人の微笑
やさしさだけだと知っていたのに
それだけでいいはずなのに
愛を求めた片想い
愛を求めた片想い
歌詞の最後のブロックは、この歌のすべてを物語る素晴らしいフレーズで作られています。
おそらく共感という点では、多くの日本人の心に響く歌詞なのではないでしょうか。
現実に青春の中にある人にとってはリアリティの歌として。
既に青春を懐かしむ人たちにとっては、ノスタルジックな歌として。



この名曲は「愛を眠らせて」のB面として1979年にシングルカットされたにも関わらず、セールス的には全然話にならない結果となりました。
ただ、浜田省吾を知る人たちの中に「片想いは名曲だ」という伝説だけを残して。
| 全曲レビュー(3-イルミネーション) | 21:21 | - | trackbacks(0) |
汐風の日々
浜田省吾1978年発表のアルバム「イルミネーション」収録曲。
地味な印象のある曲ですが、これをギターで弾きながら歌うのがとても好きです。
爽やかで懐かしくておおらかで。
1950年代のアメリカの音楽の匂いがして。

始め、レコードで聴いていた時には気づかなかったのに、一人でギター弾きながら歌ってたら、彼女が「それ、チェッカーズ?」とか言ってて、あー、これチェッカーズか〜って思いました。
チェッカーズ、つまりオールディーズなんですよね、コンセプトが。
もちろん歌詞が全然チェッカーズじゃないんだけれど、やっている音楽は1950年代のアメリカの黒人音楽、ドゥワップ。
どおりで懐かしいはずだな〜とか思いつつ、全然アレンジが曲とマッチしていないし、なんて思ったりもしてました。

今だったら、思い切りコーラス付けて、楽しいドゥワップの曲としてできますよね。
なにしろ、当時はそんな状況じゃなかった(笑)
浜田省吾といったら「シティ・ポップス」の代表選手で、都会的で軽快なイメージのポップス・ライター。
今でこそ「J.POP」なんて言いますけれど、当時はポップスといったら早い話が歌謡曲で、覚えやすくて当たり障りのないメロディ作ってればオーケーみたいな時代でしたから。
ドゥワッブなんて何言ってんの?って感じだったと思います。

ああ 僕の愛した歌 今 どこへ消えた
月明かり 窓辺に置いた 小さなラジオ
「ロックンロール・ミュージック」
ラストのこの部分を、エンドレスで何度も何度も歌い続けてると気持ち良いですよ(笑)
派手なメッセージソングが浜田省吾の真骨頂ってイメージは確かにあるけれど、こういうオールディーズへのオマージュっていうのも浜田省吾の音楽の核心の一つではないかと思います。
今回の「初恋」もそうした視点からの楽曲だったわけだし。

できれば、ルーツ・オブ・浜田省吾っていうか、アメリカン・オールディーズへの憧れに満ちた作品で、1枚アルバムやってほしいですね。
それもオリジナル・アルバムとかではなくて、企画盤みたいな形で。
50代になった浜田省吾の若い世代へのメッセージとしても有効なんじゃないかと思うんですが、ダメかな(笑)

夏の海、誰もいない浜辺、優しい潮風。
ラジオから流れるオールド・ミュージック。
最高だと思いませんか?
| 全曲レビュー(3-イルミネーション) | 21:29 | - | trackbacks(1) |
MIDNIGHT BLUE TRAIN
浜田省吾1978年のアルバム「ILLUMINATION」に収録された「MIDNIGHT BLUE TRAIN」です。
ライブの後半を盛り上げるバラードの名曲として、現在まで親しまれている曲のひとつです。

このを歌を理解するには、多少の時代背景を知っておく必要がありそうです。
ひとつは「ブルートレイン」を巡る社会情勢。
青い車体がトレードマークの寝台列車が日本の線路に登場したのは昭和31年のこと。
鮮やかな青色のボディは「ブルートレイン」の愛称で鉄道マニアのみならず、多くのファンを獲得しました。
初代ブルートレインと呼ばれ、九州と東京を結び続けた「あさかぜ」は昭和31年から走り続けて、ついに今年、その長い歴史を終えました。
導入当時、九州から東京への旅行は極めて長距離の旅であり、一晩中走り続ける寝台列車は「走るホテル」として実用的にも非常に重宝される存在でした。
高度経済成長期以降は、市民の間に起きたレジャーブームが寝台列車による旅行を促進し、経済的負担も少ないというメリットを活かし続けてきました。
もっとも、近年は時間を短縮できる航空機による旅行が通常化し、寝台列車による旅行のメリットが減少しているのが現実で、かつてのブルートレイン全盛時を知る人たちからは、消えていくブルートレインを惜しむ声が挙がっています。

次に、浜田省吾の方ですが、「ILLUMINATION」を発表したこの時期は「迷いと混乱の70年代」と歌われているように、自分の方向性を見つけられない試行錯誤のまっただ中にありました。
ツアーといっても、現実はギター1本を抱えて街から街へと移動する旅で、ライブでは生ギターでの演奏が普通でした。
既に、「浜田省吾ってシティ・ポップスだよね〜」という評価が定着していて、やりたいこととやっていることのギャップに、浜田省吾本人も相当に悩んだ時期だと思われます。


飛び去ってゆくレールの上で時は過ぎてく 瞬く間に
描いた夢と叶った夢が まるで違うのにやり直せもしない
もう帰ろう みんな投げ捨てて でもどこへ 一体どこへ
MIDNIGHT BLUE TRAIN 連れ去って
どこへでも行く 思いのまま
走り続けることだけが生きることだと 迷わずに答えて
なぜ、浜田省吾が「ストリート派」と呼ばれたのかというと、それは彼がこの歌のように自分の生きる様をストレートに自分の歌に反映してきたということに理由があります。
特に、成功前夜の浜田省吾は自分の焦りや苦悩を多くの歌に閉じこめてきました。
浜省が歌う歌には非常に強いリアリテイが生きていて、同じように焦りや苛立ちを抱えた若者達に強い共感を与えたのです。
その頃の浜省の歌には、変な小細工や飾りなんかは全然必要ありませんでした。
彼が生きていて、自分がぶつかった壁や飛び越えることのできなかったハードル、挫折、そんなものを歌うだけで、「浜田省吾の歌には聴く価値があった」と納得させられました。

目標とは違う自分の地位に苛立ちながら、その苛立ちをぶつけることもできなくて、浜田省吾は自分の姿をブルートレインに重ね合わせたのです。
当時のブルートレインは、まだ日本の鉄道界にあってのビッグスターでした。
そして、夜空の下、一晩中どこまでも走り続けるブルートレインに、浜省は自分の夢を託したのです。

人を傷つけ 嘘もついたよ
弱音を吐きながらここまで来た
愛する人を引き止めようと 時には自分を裏切りもしたよ
何を失くし 何を手にしたか
わからない もうわからない
MIDNIGHT BLUE TRAIN 連れ去って
どこへでも行く 思いのまま
走り続けることだけが生きることだと 迷わずに答えて
自分の意見が周囲に通じず、「こんなんじゃ売れないよ」と言われながら歌い続けた時代。
でも、今になって、この時代の歌には現在の浜省にはない感動があります。
なぜなら、当時の歌には嘘がないから。
生きることに焦る若者のリアルな気持ちが、この歌には溢れているのです。
そして、人はやっぱり嘘のない歌に感動を覚えるものなのだと思います。
ライブで大きな拍手をもって迎えられるこの歌を聴くと、どうしてもそんな気持ちになってしまうのです。

暗闇の中を走り続ける夜行列車。
この先もうしばらく、浜田省吾も闇の中を走り続けました。
| 全曲レビュー(3-イルミネーション) | 19:53 | - | trackbacks(0) |
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